Mick Jagger, Keith Richards, Charlie Watts, Ron Wood,
Bill Wyman, Brian Jones, Mick Taylor,
高校から帰ってきて、普段は滅多に聴かないラジオをその日はつけた。夕方からFMラジオで「The Rolling Stones特集」をやっていたのだ。ラジオをつけると、すでに番組は始まっていて、ドラムのタムタムの音と、聴き慣れない弦楽器の音が、なんとも怪しい雰囲気で流れていた。
「何じゃ、この曲は?」
流れていたのはサイケデリックな名曲、「黒くぬれ(Paint It Black)」という曲だった。慌ててカセットテープをラジカセに突っ込んで、録音ボタンを「ガチャン!」と押したのを覚えている。
ホッとしていると、次の曲は打って変わってなんともロマンティックな雰囲気。
「なんて曲なんやろう?」
流れてきたのは「Ruby Tuesday」という曲だった。さっきの怪しげでサイケデリックな雰囲気といい、なんともいえずロマンチックでドラマチックなこの曲。この2曲のギャップにやられ、その瞬間からThe Rolling Stonesを大好きになっていた。
最後に「夜をぶっとばせ(Let's Spend The Night Together)」が流れて1時間の特集は終わった。特集といえど、結局、俺のカセットテープに録音できたのは、2曲と半分だけだったが、それだけで十分だった。
その後、The Rolling Stonesのアルバムを遡って聴くようになるのだが、 ブルースやリズム&ブルースのカヴァーを、わかりやすいアレンジにしてたくさんやってくれていたので、高校生の俺にはとてもありがたかった!「なになに、この曲の原曲はマ、、、Muddy Watersで、この曲はJimmy Reedって人の曲なんや。なるほど、、、。」
と、まぁ、こんな感じで、高校生の俺がブルースやリズム&ブルースを知るきっかけを作ってくれたのだ。
-The Rolling Stones-
これがありがたかったファーストアルバム(イギリス盤)、その名も「The Rolling Stones」。このアルバムにはブルースやらリズム&ブルースのカヴァーがたくさん入っていて、本当にいろんな人を教えてもらった!当時はイギリス盤とアメリカ盤なるものがあり、収録曲目が微妙に違っていたので、高校生ながら「どっちかに統一してくれー!」と思っていたが、現在はアメリカ盤の曲目に全て統一されているようだ(反対にThe Beatles はイギリス盤に統一されている)。このアルバムの演奏も爆発している!
そんなラジオ番組があった後の話。
友達と、大阪は心斎橋のアメリカ村に買い物に行ったときのこと。
『SALE』
の看板がでかでかと出ている中古レコードショップを発見。
「ここなら、The Rolling Stonesのレコードが安く買えるかも」
と思い、勇気をだして、初めての中古レコードショップに。
俺「ちょっとレコード買いたいねんけど寄ってもええかな?」
友「ああ、ええよ」
俺「ローリングストーンズ、ローリングストーンズ、ロ、ロ、ロ、ロ、、、。あ、ちゃうわ、R、R、R、R、、、Rolling Stones、、、あった!Ruby Tuesday、、、これちゃうなぁ、どれかなぁ、、、3曲とも入ってるレコードないかなぁ、、、。あっ、あったー!」
俺が手にしていたのは8角形のレコードだった。
-Through The Past, Darkly (Big Hits Vol.2)-
友「まだ?」
俺「あった」
友「変わったレコードやな」
俺「え、そやな。ジャケットがな。でも、こないだラジオで録音した曲、全部入ってるし」
友「ふーん、で、なんぼなん?」
俺「うん、、、」
値札には「4800円」のスタンプが。
友「うわっ、高ーっ!お前この後、DEP'Tでジャケット買うんちゃうん?」
俺「え、、、うん、、、そやねんけど、、、このジャケットも捨てがたいねんなぁ、、、」
友「、、、でも高いで、それ」
俺「うーん、、、でも,『SALE』って書いてたし、、、。普段はもっと高いんとちゃうかなぁ。1万円とかするんちゃう?」
そうだ!
絶対にそうだ!!
そうに違いない!!!
普段、このレコードは1万円くらいする代物のハズ。なら、買うのは今しかない。
だって、今日は『SALE』なんやもん!!!!!
そう自分に言い聞かし、友人の忠告も聞かず、俺は4800円のThe Rolling Stonesを買った。レコード盤の状態も確かめずに。
後でわかったことだが、このとき買ったレコードは、いつ行っても4800円だったようだ。
そう、そいつは『SALE対象外』
これもブルース。
初掲載:2007.11.02.
加筆・修正:2010.06.11.
本名 エルモア・ブルックス
先日、「サンコンさん、ブルースってナンすか?」と聞かれた。
が、即答などできず、
「うーん、ジャンルとかやなくて、なんだー、そのー、なんやろ?」
と、シドロモドロな回答で、正直、俺もよくわかっていない。
「ブルース」ってなんなんやろ?
こんな大きな問いかけに、果たして答えはあるのか?
正体が見えてくるものなのか?
こんな大きな問いかけに、果たして答えはあるのか?
正体が見えてくるものなのか?
ブルースに通じている人達のインタビューを読んだり、昔のブルースマンの映像を観たりしていると、こんな言葉によく出会う。
「ブルースは爆発だ!」
爆発か。なんかカッコイイ。そういやそんな名前のバンドもあるしね。
でも、何が「爆発」なんやろ?
うーん、、、それはこの先、棺桶に入るまで探し続ける永遠のテーマなのかもしれない。が、ここで、その「爆発」のヒントをくれるブルースマンを 紹介しよう。
ーBlues After Hoursーウルフルズに入って、最初に教えてもらったブルースマンがこの人。
トータス松本氏にこの人のレコードを貸してもらい、家に帰って聴いた時の衝撃はいまでも覚えている。
「なんじゃ、これは?!これもブルースなんか?!」と思わずにいられなかった。
この人のギターは本当にすごい音をしてる。スライド奏法(筒状の鉄やビンを指にはめて、ギターの弦の上を滑らせる奏法。チュイーンとかテイーンという音が
する)でギターを弾いてるのだが、その音が、
「ギュワギャギャ、ギュワギャギャ、ギュワギャギャ、ギュワギャギャギョオン」
とか
「ジャイジャジャ、ジャイジャジャ、ジャイジャジャ、ジャイジャジャジャァジョオン」
とまあ、荒々しいというか、けたたましいというか。なんせ、豪快で痛快!なおかつ炸裂している!
いまにも、ギターから炎が噴き出てきそうな勢いがそこにある!
そんなElmore Jamesのギタースタイルを、トータス松本氏も受け継いでいる。
ここで
「Elmore Jamesのブルースは爆発だ!」
と言われると、
「ブルース=爆発」
の意味が、さっきよりもちょっとだけ、わかるような気がしてくる。
ーShake Your Money Maker : The Best Of Fire Sessionー
いろんなレコード会社に吹き込んでいるのは、当時のブルースマンにはよくあること。このアルバムは1959~61年まで、FIRE
Recordsに吹き込まれたものがまとめられているベスト盤。「Shake Your Moneymaker」、「The Sky Is
Crying」、「Standing At The Crossroads」、「Dust My
Broom」など、名曲が多数収録されている好編集盤だ!
そんなブルースの爆発とはほど遠く、先日、僕の腰も爆発した。
ブルースマンの表現だと、これはいわゆる絶倫男になるんやろうけど、
そうではなく、ギックリ腰というなんとも情けないやつ。
それが引っ越しの準備中だったからもう最悪。
まだダンボールに入っていない荷物が半分以上残ってる。
この状況、どうすんねん?
詰め込んでも詰め込んでも減らない荷物を眺めてる
詰め込んでも詰め込んでも減らない荷物を眺めてる
いるものだけ持って行け、これからの旅に
とまぁ、詩のようなものを書いてはみたものの、なんの足しにもなりゃしない。
結局、そんな状況を笑うしかないのだ。
これもブルース。ーWhose Muddy Shoesー
連載当時、トータス松本氏に借りたレコードは上記の「Blues After
Hours」だと思い込んでいたのだが、よくよく思い出してみると、このレコードだったと思う。このアルバムは1953年と60年の2回に渡り、
Chess Recordsに吹き込まれたものを、John
Brimというブルースマンの曲とともに1枚のレコードにされて1969年に発売されたもの。「Madison Blues」や「The Sun Is
Shining」(CDではボーナストラックが収録されている)、「Dust My Broom」(Fireのとは違うテイク)、「Talk To Me
Baby」など、こちらも名曲が多数収録されている。
初掲載 : 2007.10.19.
加筆・修正 : 2010.05.14.
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