本名 Elvis Aaron Presley
「ユエンナキバラハゥンドッグ!」で有名なElvis Presleyの歌う"Hound Dog"を初めて聴いたのは高校生のときだった。当時、兄の部屋からはさまざまな音楽が聴こえてきていて、Elvis Presleyもその中に混ざっていた。兄の部屋にあったアルバム「Elvis' Golden Records」をすぐさまカセットテープに録音し、自分の部屋のラジカセでよく聴いていたのもこの頃。「Love Me Tender」よりも「Love Me」のほうが好きだったことや、「All Shook Up」という曲が何回聴いても「あ、モーシュコッ!」(何の意味もない!)としか聴こえないこととか、、、当時を思い出してみると、、、くだらないことばかり覚えていたりするもんだ。
-Elvis' Golden Records-
1956~57のヒット曲を満載したベスト盤。だったのに、CDになって収録曲が増えている。増えた曲が下に紹介したSUN時代のものも含まれているので、内容は超強力ベスト盤に!!!数年前、リリースされたベスト盤「30 #1 HIT」よりも、こっちのほうが断然思い入れのあるアルバム。
Elvisが歌う"Hound Dog"がもともとは女性ブルースシンガー、Willie Mae "Big Mama" Thornton(ウィリー・メイ・"ビッグ・ママ"・ソーントン)の曲と知ったのは、それからずーっと後のこと。初めて聴いた"Big Mama" Thorntonの"Hound Dog"は当時のオレには全然受けいれられなかったけど、いまは、普通に聴けている。
というか、最近はこっちのほうをよく聴いている。まぁ、当時のオレにはElvisの歌う"Hound Dog"ほうがわかりやすかったのは間違いのないこと。
そんな"Big Mama" Thorntonのアルバムを1枚。
-The Original Hound Dog / Big Mama Thornton-
アルバムタイトルからして、間違えようのないこのタイトル!編集盤がいろんなレーベルからリリースされているが、ほとんどと言っていいほど"Hound Dog"は収録されているのでご安心を。まぁ、そりゃそうよね。
そんな両者の「Hound Dog」を改めて聴いてみると、"Big Mama" Thorntonの歌声は、まさに爆発している!!!この「爆発力」を持った白人シンガーは当時いなかったらしく、ミシシッピのレコードレーベル"SUN Records"を設立したSam Philip氏もそういう白人シンガーを探していたようだ。そんなときに、Elvis Presleyと出会ったといわれている。Elvis Presleyの歌う"Hound Dog"も負けず劣らず爆発しているが、なんやろう?爆発の仕方が違うというか、爆弾の種類が違うというか。それが個性というものか。
-Elvis at SUN-
このCDの存在はタイスケ事務所の社長、森本さんに最近教えてもらった。「Mystery Train」や「Good Rockin' Tonight」、「That's All Right」など、 若々しく瑞々しいElvis Presleyの歌が聴ける!
いまでこそ当たり前のようにElvis Presleyの歌を聴いてるけど、当たり前じゃなかったその当時、この爆発力を持った白人シンガーの歌う歌はどういう風に聴こえていたのだろう?Keith Richardsは「肌の色が白でも黒でも関係ないとElvisは証明してくれた」と言い、「ものすごい刺激だった。ElvisがいなかったらBeatlesは存在しなかっただろう」とJohn Lennonが言っているように、Elvis Presleyの影響と存在たるや、我々の想像を遥かに超えたスーパーヒーローだったことが、この二人の言葉からよくわかる。
「キング・オブ・ロックンロール」といわれているElvis Presleyも、小さいときから、やはり、ブルースやゴスペルという黒人音楽を好んで聴き、歌っていたという。
「ブルース」と「ロックンロール」の関係はまだまだ深そうだ。
初掲載:2008.11.21.
加筆・修正:2010.05.28.
本名 エルモア・ブルックス
先日、「サンコンさん、ブルースってナンすか?」と聞かれた。
が、即答などできず、
「うーん、ジャンルとかやなくて、なんだー、そのー、なんやろ?」
と、シドロモドロな回答で、正直、俺もよくわかっていない。
「ブルース」ってなんなんやろ?
こんな大きな問いかけに、果たして答えはあるのか?
正体が見えてくるものなのか?
こんな大きな問いかけに、果たして答えはあるのか?
正体が見えてくるものなのか?
ブルースに通じている人達のインタビューを読んだり、昔のブルースマンの映像を観たりしていると、こんな言葉によく出会う。
「ブルースは爆発だ!」
爆発か。なんかカッコイイ。そういやそんな名前のバンドもあるしね。
でも、何が「爆発」なんやろ?
うーん、、、それはこの先、棺桶に入るまで探し続ける永遠のテーマなのかもしれない。が、ここで、その「爆発」のヒントをくれるブルースマンを 紹介しよう。
ーBlues After Hoursーウルフルズに入って、最初に教えてもらったブルースマンがこの人。
トータス松本氏にこの人のレコードを貸してもらい、家に帰って聴いた時の衝撃はいまでも覚えている。
「なんじゃ、これは?!これもブルースなんか?!」と思わずにいられなかった。
この人のギターは本当にすごい音をしてる。スライド奏法(筒状の鉄やビンを指にはめて、ギターの弦の上を滑らせる奏法。チュイーンとかテイーンという音が
する)でギターを弾いてるのだが、その音が、
「ギュワギャギャ、ギュワギャギャ、ギュワギャギャ、ギュワギャギャギョオン」
とか
「ジャイジャジャ、ジャイジャジャ、ジャイジャジャ、ジャイジャジャジャァジョオン」
とまあ、荒々しいというか、けたたましいというか。なんせ、豪快で痛快!なおかつ炸裂している!
いまにも、ギターから炎が噴き出てきそうな勢いがそこにある!
そんなElmore Jamesのギタースタイルを、トータス松本氏も受け継いでいる。
ここで
「Elmore Jamesのブルースは爆発だ!」
と言われると、
「ブルース=爆発」
の意味が、さっきよりもちょっとだけ、わかるような気がしてくる。
ーShake Your Money Maker : The Best Of Fire Sessionー
いろんなレコード会社に吹き込んでいるのは、当時のブルースマンにはよくあること。このアルバムは1959~61年まで、FIRE
Recordsに吹き込まれたものがまとめられているベスト盤。「Shake Your Moneymaker」、「The Sky Is
Crying」、「Standing At The Crossroads」、「Dust My
Broom」など、名曲が多数収録されている好編集盤だ!
そんなブルースの爆発とはほど遠く、先日、僕の腰も爆発した。
ブルースマンの表現だと、これはいわゆる絶倫男になるんやろうけど、
そうではなく、ギックリ腰というなんとも情けないやつ。
それが引っ越しの準備中だったからもう最悪。
まだダンボールに入っていない荷物が半分以上残ってる。
この状況、どうすんねん?
詰め込んでも詰め込んでも減らない荷物を眺めてる
詰め込んでも詰め込んでも減らない荷物を眺めてる
いるものだけ持って行け、これからの旅に
とまぁ、詩のようなものを書いてはみたものの、なんの足しにもなりゃしない。
結局、そんな状況を笑うしかないのだ。
これもブルース。ーWhose Muddy Shoesー
連載当時、トータス松本氏に借りたレコードは上記の「Blues After
Hours」だと思い込んでいたのだが、よくよく思い出してみると、このレコードだったと思う。このアルバムは1953年と60年の2回に渡り、
Chess Recordsに吹き込まれたものを、John
Brimというブルースマンの曲とともに1枚のレコードにされて1969年に発売されたもの。「Madison Blues」や「The Sun Is
Shining」(CDではボーナストラックが収録されている)、「Dust My Broom」(Fireのとは違うテイク)、「Talk To Me
Baby」など、こちらも名曲が多数収録されている。
初掲載 : 2007.10.19.
加筆・修正 : 2010.05.14.
本名 アレサ・ルイーズ・フランクリン
Aretha Franklinの曲を意識して聴くようになったのは、東京に出てきて数年経った頃、24才のときだった。それまでは、映画「ブルース・ブラザース」に出演していたということと、「Respect」や「Think」などの有名曲くらいしか知らなかった。そんなオレに「Rock Steady」 や「Day Dreaming」、そしてMuscle Shoalsのミュージシャンを教えてくれたのは、当時のウルフルズのプロデューサー、伊藤銀次氏だった(銀次さんにはAretha Franklinだけでなく、いろんな音楽やミュージシャンを教えてもらったことを本当に感謝しています!)。
Aretha Franklinは1942年、ミシシッピ生まれ。まもなくデトロイトに移り住むことに。父親はデトロイトの教会で有名な牧師だったこともあり、小さい頃から教会で歌っていたようだ。1960年にレコードデビューするが、そのゴスペルフィーリング溢れる歌声は、1967年、名門Atlantic Recordに移籍してから、さらに花開くことになる。
ここでは個人的に気に入っているアルバムを紹介しよう。
ーI Never Loved A Man The Way I Love Youー
Atlantic Record移籍後、初のアルバム。当時のプロデューサー、Jerry Wexlerの提案でAlabama州Muscle Shoalsのミュージシャンをバックバンドに起用。これが見事に的中し、以降ヒット曲を次々と生み出して行く。このアルバム以降、その関係は4作ほど続くことに。Aretha Franklinが尊敬してやまないソウルシンガー、Sam Cookeのカヴァーも2曲収録されている。このアルバムの音の質感は大好きだ!収録されている曲も素晴らしい曲ばかり!名盤!
ーLive At Fillmore Westー
どこかで一度は、このアルバムジャケットを見かけたことがある人も多いのではと思う。それくらい有名なこのアルバムは、1971年の3月にサンフランシスコ、フィルモア・ウェストで3日間に渡って行われたライヴコンサートの模様が収められている。すでに大ヒット曲を連発していたAretha Franklinだったが、プロデューサーのJerry Wexlerは白人層(ロック好きの若者達!)にさらにAretha Franklinの歌を聴いてもらいたいという思いから、このコンサートを行ったという。サンフランシスコのこの会場で、黒人のソウルシンガーとファンキーなインストゥルメンタルバンドがコンサートを行うということは、当時では、まず、考えられなかったことだと、ピーター・バラカン氏が下のCDのライナーノーツで語っている。
このCDは当日のライヴコンサートのバックバンドを務めたバンド、「King Curtis & The Kingpins」が、Aretha Franklinが出演する前に演奏していたインストゥルメンタルをまとめたCDだ。こう書くと「前座」のように聞こえてしまうのだが、そこは、 恐ろしい演奏が繰り広げられている!特にDrumsのBernard Purdieの演奏は、もう、謝らずにいられない、、、すいません。
Ray Charlesまで飛び入りしたこの「Live At Fillmore West」 。どちらも歴史的名盤なので是非とも聴いてみて欲しい。
ーYoung, Gifted And Blackー
何度もいろんなところで言っているが、このレコードは本当に大好きなレコードだ!特に頭の3曲は、もう、やられっぱなし。上記のライヴ盤から参加している、Cornell Dupree(Guitar)とBernard Purdie(Drums)に加え、Chuck Rainey(Bass)、Donny Hathaway(Organ,Electric Piano)と伝説のミュージシャンの名演が聴けるこのアルバム。そしてもう一人、伝説のドラマー、Al Jackson Jr.(Drums)もアルバム中、2曲でドラムを叩いているのだが、その1曲がアルバムトップを飾る「Oh Me, Oh My (I'm A Fool For You Baby)」だ。Aretha Franklinの感情を見事にサポートしているその演奏を是非とも聴いてみて欲しい(印象的なベースを弾いているのは「Eric Gale」とクレジットされているけど、あのEric Galeなんでしょうか?)。冒頭にも書いた「Day Dreaming」と「Rock Steady」もこのアルバムに収録されている!超名盤!!!
Aretha Franklinには、今回紹介できなかったアルバム「Lady Soul」や「Amazing Grace」、Curtis Mayfieldがプロデュースした「Sparkle」など、まだまだ名盤、名曲が存在しているので興味のある方は是非とも他のアルバムも聴いてみて欲しい。
2010.05.01.
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