MUSIC

2010.11.26 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第7回 「兄弟とバンド!」

The Kinks are

Ray Davies - Vo. Gt.
Dave Davies - Vo. Gt.
Mick Avory - Drums

Bass-
Pete Quaife
John Dalton
Andy Pyle
Jim Rodford



あまり耳なじみのない「kink」という英単語に複数形の「S」がついてる「The Kinks」。どういう意味なのか辞書を引いてみると「1-もつれ、ねじれ、2-ひねくれ、へそ曲がり、風変わりなところ」となっている。そう言われるとそういう風に聴こえてくるThe Kinksの曲達。今回は実の兄弟が中心になっているバンド、The Kinksにまつわる思い出話し。

-Something Else-

高校生の頃に組んでいたバンドはDavid Bowieのコピーをしたり、The Beatlesのコピーもやったり、The WhoやThe Jamのコピーもやっていた。The Jamのサードアルバム「All Mod Cons」に収録されていた「David Watts」を聴いて、その曲のオリジナル、The Kinksを知ったという人は、きっとオレだけじゃないと思う。そんな
きっかけでアルバム「Something Else」を聴いたのはこの頃だ。
なんとも独特な雰囲気を持つRay Daviesの作り出す曲と歌声に吸い込まれるように、The Kinksの世界にスーッと入って行った。オレの頭の中にどんよりとした曇り空が漂っているイギリスの空を想像させてくれたこのアルバムは、高校時代、本当によく聴いた。超名曲「Waterloo Sunset」収録!1967年リリース。

-The Village Green Preservation Society-

数あるThe Kinksのアルバムの中で1枚だけしか聴いてはいけない!と、もしもそんな法律ができたら、オレは迷わずにこのアルバムを選ぶ!名盤の中の名盤だろう。1曲目の「The Village Green Preservation Society」はオレの心の中の1曲だ!!!当時このアルバムがセールス的には成功しなかったことがオレには信じられないが、そんなアルバムは実は世界中にはたくさんある。1968年リリース。

-Phobia-


その後も、The KinksのあんなCDやこんなレコードを買ったり、借りたりしながら聴いていたそんなある日のこと、仕事の関係で東京に住んでいた2番目の兄が「博幸、お前これ聴いた?」と差し出したのは当時のThe KInksの最新アルバム「Phobia」だった。レコード会社をいろいろと変わり、音楽性もいろいろと変わっていたThe Kinksの最新アルバムに、正直いうとあまり興味をそそられはしなかったが、「この曲むっちゃええぞ!」と聴かしてくれたアルバムラストの曲「Scattered」は、そんなオレのしょうもない考えをブチ壊してくれるほどの名曲だった!この曲を聴くと、自転車で行き来できる距離に住んでいた兄のアパートの部屋を思い出す。

最近、CD6枚組のアンソロジーボックスセット「Picture Book」が出たり、RayさんとDaveさん揃っての活動再開という噂もチラホラと聞く、The KInks(連載当時)。ステージ上で殴り合うことがあるくらい中が悪い兄弟とは言われているけど、すばらしい名曲を作り歌ってきたのも、その兄弟というのは間違いのないこと。

初掲載:2009.02.20.
加筆、修正:2010.11.26.
2010.11.12 (Fri)
これもブルース 第7回「SOULという名のブルース!」
Lowell Fulson (Lowell Fulsomと表記してる時代もある)


「ブルースの眠れる巨人」といわれているLowell Fulson。この人を知ったのは、本当につい最近のこと(連載当時)。まだこの連載が始まる前、知ってか知らずかある日のこと、スタジオに行くとトータス松本氏が「これ、貸したるわ。ひさびさに聴いたけど、すっごいわかりやすかったわ。」とブルース・デラックスなるCD10枚組のBOXセットを貸してくれたのだ。いろんな人のインタビューあり、詳細なデータありと、初心者のオレにはまさにうってつけだった。

家に帰り1枚ずつ聴きながら「ふーん、なるほど」とか、「うわっ、Muddy Watersのこの曲のスタジオバージョン初めて聴いたっ!」とか、独り言をブツブツと言いながら聴いてると、なにやら聴き覚えのある曲が。「あれ?この曲なんで?」と出てきたのはLowell Fulsonが歌う「Tramp」だった。もちろんOtis ReddingとCarla Thomasのデュエットっでおなじみのこの曲なんだが、原曲があったとは知らなかった。しかも、この曲以降、収録されている曲がどれもオレの好きな感じで素晴らしかった!さすがブルースの眠れる巨人!

-Tramp-


1967年リリースのこのアルバム。内容は最高だ!「トテトテペキーン」という独特の単音のギターフレーズを聴いた瞬間、「!!!!!」となったオレに拍手を送りたい(なんで?)。そう、ギターがしゃべっているのだ。オレが言っていることが大げさでないのが聴いてもらうと良くわかる。無駄のないバックの演奏といい最高に好きなアルバムだ!

-Soul-


1966年リリースなのでTrampの前作にあたるこのアルバム。オレが購入したものはTrampとの最強の2in1で発売されていたものなので、ジャケット写真のLowell Folsonの写真が小さくなってしまったのだが、よく見るとこの写真は傑作だ!いやいや、内容もTrampに負けず劣らず最高の内容になっている!


ブルースやけど「SOUL」、、、。

Magic Samのアルバムも「West Side Soul」というタイトルやったし、、、。

じゃあ、


あらためて「ブルース」ってなんなんやろう?

思うに、音楽の呼び方(ブルースとかR&Bとか)は、ただの便宜上のもんで、その人の音楽とは本来は関係ないように思ってきたことと、好きなものと嫌いなものはとてもはっきりしてるということ。スピーカーの向こうから「オレはこうだー!」とか「ワタシはこうよー!」と訴えかけてくるエネルギーが、どの人もハンパじゃなく強烈なのだ。しかも一音一音に説得力がちゃんとある。好みがはっきりするというのはそういうことだろう。

では、そういう「音」はどうやったら出せるようになるのかしら?

探求は続くよどこまでも。

これもブルース。


初掲載:2008.01.18.
加筆、修正:2010.11.12.
2010.11.01 (Mon)
The Ramsey Lewis Trio / The Young -Holt Unlimited

The Ramsey Lewis Trio / The Young -Holt Unlimited

あまり聞き慣れないバンド名(グループ名か!)だと思うけど、Ramsey Lewisという人の名前はどこかで聞いたことがある人もいるのでは。

シカゴ出身のピアニスト、Ramsey Lewisは1956年、BassのEldee YoungとDrumsのIsaac “Redd” Holtと「The Ramsey Lewis Trio」を結成。ブルースの名門レーベル、Chessレコーズからデビュー。1965年にリリースしたライヴ・アルバム「The In Crowd」が大ヒット。このヒット曲を境にBassのEldee YoungとDrumsのIsaac “Redd” Holtは離脱し、「The Young Holt Trio(のちのThe Young-Holt Unlimited!)」を結成し、"Wack Wack"や"Soulful Strut"などヒットを出す。一方、Ramsey LewisはBassにCleveland Eaton、DrumsにMaurice White(のちのEarth, Wind, & Fireのリーダー!)と共に新たなThe Ramsey Lewis Trioを始動。1970年にはDrumsがMaurice WhiteからMaurice Jenningsへ。以降メンバーチェンジを繰り返しながら、バンド名義も現在の「Ramsey Lewis」へ。

ざっと経歴を紹介したが、どんな音楽かと言うと、「とてもわかりやすいJazz/Soul Instrumental 」というのが一番良いだろうか。Jazzのスタンダードナンバーあり、古いNew Orleansのナンバーあり、当時流行のPopsのカヴァーがあったりと、常にポピュラーミュージックを意識していたように思う。そういう意味では前回のBooker T. & The M.G.'sと同じものを感じるのはオレだけか?The Ramsey Lewis Trioはオレの中では「Jazz」という音楽をとても身近に感じさせてくれた素敵なバンドだ!

The In Crowd / The Ramsey Lewis Trio-


アルバムThe In Crowdを初めて聴いたのは、もう10数年も前のこと。当時はかなり背伸びして聴いていたのもあり、全然おもしろさはわからなかったのだが、ウルフルズのサポートピアノマンでおなじみの、伊東ミキオ氏と一緒に「The In Crowd」を演奏してから興味が深まったのは間違いない。それから、このトリオのリズム隊が大好きになりThe Young-Holt Unlimitedを聴くようになったのもオレの中では当然の流れだった。

-Wack Wack / The Young Holt Trio-


表題曲、「Wack Wack」は「The In Crowd」をさらにソウルミュージックに寄せたとでも言ったら良いのか、痛快なナンバーで聴いているだけで楽しくなってくるそんなゴキゲンなナンバーだ!!!一度、自分のイベントでも演奏したのだが、また機会があったら演奏したい曲ナンバー1だ!!!写真左がIsaac "Redd" Holt、手前がEldee Young、その後ろがPianoのHysear Don Walker。このアルバム以降バンド名が「The Young-Holt Unlimited」に。

-Soulful Strut / The Young-Holt Unlimited-

1968年、The Young-Holt Unlimitedとして「Soulful Strut」が大ヒット!いろんなところで流れているので、きっと聴いたことがある人も多いと思う。しかしこの曲、Barbara Acklinという女性シンガーの「Am I The Same Girl」という曲のバックトラック(カラオケ)にピアノをダビングして、The Young-Holt Unlimited名義でリリースされたという曰く付きの曲だ!

オレはドラマーなので、どうしてもそのバンドのドラマーが気になってしまうのだが、このIsaac "Redd" Holtの叩き出す歯切れよいサウンドとビートは今聴いてもなんの遜色もなく、かなり過小評価されているとオレは思う。確実にもっと評価されて良いと思うドラマーの一人だ。そういう意味でもオレの中での「The Ramsey Lewis Trio」といえば、やはり最初の3人のときの音源になってしまうのは仕方のないこと。アルバムは他にも比較手に入りやすい「In Chicago + Stretching Out」や、「At The Bohemian Caverns」などもあるので、興味のある方は聴いてみて欲しい。


2010.11.01.
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